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2008年7月 5日 (土)

意義とコストを天秤に

森永 卓郎氏のコラム
赤字の公営施設はただ潰せばいいのか
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/139/index.html
を読んだ。

毎年赤字を出している、「私のしごと館」という職業訓練施設をどうするべきかという議論である。

森永氏がメンバーの一人として参加している、有識者会議の結果、

特殊法人の整理合理化計画のもと、運営を民間に委託する方向を示しつつ、有識者会議によって1年以内に存廃を含めた結論を出す

ということになったのだが、一貫して廃止を主張する、渡辺喜美行革担当大臣の言動により、民間委託が危うくなっているという話である。(詳しくはコラム本文を参照)

この施設が、箸にも棒にもかからないような、どうしようもないような施設なら渡辺大臣の主張にもうなづけるが、

2007年度の入場者数は32万4758人。リピーターも多く、延べ利用数は50万人を越えている。そのうち、職業体験をした人は23万1000人にのぼっている

という、それなりに人気のあるものなのである。

「私のしごと館」のホームページに、「利用者の声」としてよせられている、先生たちの感想を読めば、この施設のもつ意義が十分に感じられるだろう。
http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/watashi/info/impressions/impressions_list.html

ご多分にもれず、この「私のしごと館」は大幅な赤字を出しており、その額は毎年十数億円。2006年度決算では14億7700万円であった。運営交付金は事業主負担のみの雇用保険料、いわゆる「雇用保険2事業」から出ているが、これをどうするかが大きな問題となっているのだ。

という問題点はあるものの、

 民間委託された後の「私のしごと館」は、職業体験事業について、当初は6億円程度の財政援助が必要であると見積もられた。もちろん、運営の効率化と体験費用を多少値上げすることなどで、収支均衡を目指してもらう。

 まあ、少なくとも年間十数億円の赤字が、1桁の億の単位に圧縮できるのだ。

上記が現実的な話ならば、存続させるという結論のほうが納得できるのではないだろうか。

そもそも、このような施設で黒字を目指す必要があるのだろうか。図書館などの施設と同様、ある程度の援助を前提としつつ、意義とコストを天秤にかけて判断すべきではないだろうか。

教育格差の真実~どこへ行くニッポン社会~ (小学館101新書) (小学館101新書 5)
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コメント

そうですね。
で、意義よりもコストの方が明らかに高いわけですが。
まさか「一桁の赤字くらい大したことはない」なんて言い出すわけじゃありませんよね。
国民が苦労して納めている雇用保険を流用しているくせに。

>まさか「一桁の赤字くらい大したことはない」
>なんて言い出すわけじゃありませんよね。

いや、ちょっとそういうつもりもあったんですが・・・
数億円で、20万人に職業体験してもらえるなら割に合うのかなと。例えば、10億円で20万人だと、1人当たり5000円。ん、高い・・・

もうちょっとがんばって、5億円で、50万人なら(そうとう大きい施設らしいので)、1人当たり1000円。これくらいなら、許せません?(たら、れば、の話で申し訳ないですが)
赤字というよりは、これだけお金をかけて、これだけのことをできます、という考え方で。

雇用保険二事業というのは、「失業等給付」とは別の目的を持っているもので、「失業の予防や労働者の能力開発を図るための各種助成金等の制度」とのこと。だとすれば、流用というわけではなく、本来の目的にある程度合致したものと思われます。(私も今調べて知ったんで偉そうなことは言えませんが)
それだとしても、採算の観点があまりに欠けていたという問題はもちろんありますね。関係者の責任は問われるべきです。あと、周知されていないという問題もありますね。

あと、「今からこんな施設を作ります」というなら、ちょっとどうかなーとも思うのですが、すでにバブリーな施設があるという前提で、これを二束三文で売ってしまうのか、多少でもマシな使い方をするのかだとすると、存続案にも十分な根拠があると思えないでしょうか。

ちなみに、私は最初からこれだけ考慮して、記事を書いたわけではなく、「通りすがり」さんの意見を見て、いろいろ調べたり、思案した部分も多々あります。非常に考えさせられました。コメントありがとうございました。

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