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2009年10月24日 (土)

カフカの『審判』が訳が分からないという話

カフカという作家の名前は知っていました。朝起きたら虫になっていた小説を書いた人だってことも。でも、読んだことはなかったんですよね。

読むきっかけになったのは千野帽子さんの連載、

30. あなたが採用されたことの立証責任は、あなたに課されている。:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090514/194756/

カフカの『審判』と『城』について書かれています。

カフカの長篇小説『審判』の主人公ヨーゼフ・Kは、銀行で働いている。そして三〇歳の誕生日を迎えたその朝、なにも悪いことをした覚えがないのにとつぜん逮捕されてしまう。奇妙なことに、逮捕されたからといって身柄は拘束されず、ふつうに銀行勤めの日々は続く。そして呼び出しに従って裁判所を訪れるのだが、裁判所が彼をどうしたいのか、まったくわからない。

そう、どうしたいんじゃ!?ってつっこみたくなるくらい、どうしたいのか分からない。なんか理屈っぽい会話がたくさん交わされるのですが、筋が通っているような、いないような。なんか、気持ちいいくらい、もどかしいんです。

上記リンク先の2ページ目に、『城』の引用があるんで、読んでみてください。

「あなたが採用されたことの立証責任があなたに課されている」ってのは、なかなかの名フレーズです。

んで、『審判』を読むきっかけになった二つ目は、『毒書案内―人生を狂わせる読んではいけない本』という書籍。

「読んではいけない」と言われると読みたくなる
http://claimant.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-3ac0.html

エントリを書いた後日、図書館で借りて読みました。

この本では、

フランツ・カフカ『審判』
自分の知らない罪によって裁かれる恐怖

という目次タイトルになっています。私は「恐怖」というよりは、「わけわからん」とこが好きでした。

ちなみに、辻瑆(つじひかる)訳の岩波文庫版の表紙には、

全体をおおう得体の知れない不安。カフカ(1883-1924)はこの作品によって現代人の孤独と不安と絶望の形而上学を提示したものと言えよう。

とあります。「形而上学」・・・。難しい。

「訳の分からないところがいい」(ペプシNEX風に)なんて解説はどう?

で、『審判』読んでて、なんだか夢の話みたいだなーと。『変身』みたいな物理的な理不尽さはないんですよ。とおっているかどうか微妙ですが、みんな理屈で話をするし。でも、夢の中の話みたい。

例えば、似たような感じのテイストの箇所を3つあげてみますと、

【第一章 逮捕・グル―バッハ夫人との対話、それからビュルストナー嬢】

主人公Kが部屋にいるところを逮捕(これを逮捕というのだろうか)される場面。この件の監督なる人物が、なぜかKの部屋の隣室のビュルストナー嬢の部屋で座っていて、Kと会話をする場面。

部屋のかたすみに三人の若い男が立ち、ビュルストナー嬢の写真に見入っていたが、その写真は壁にかけたマットの一つに止めてあった。

その後、監督とけっこうなやりとりをした後、

(監督)「(略)私のほうではこの三人のかたがた―あなたの同僚のかたですが―をお連れしてあるのです」

「ええ?」とKは叫び、驚いてその三人の顔を見つめた。この、およそ特徴のない、貧血症の若者たちは、彼としてみれば今もって写真のそばにいた一グループとしての記憶しかないのだが、それがまたまごうかたかく彼の銀行の行員だった。

【第五章 笞刑吏(ちけいり)】

Kが事務所のがらくた置場に人の気配を感じて、

ところがその部屋のなかには、天井が低いので背をかがめながら、三人の男が立っていたのである。

まあ、この時点でかなり変な感じはしますが、

「だんな! あんたがわしらのことを予審判事に言いつけたもんだから、わしらは笞(むち)でひっぱたかれることになったんです」

そう言われてみれば、なるほどこれは監視人のフランツとヴィレムだったし、第三の男はこの二人を打つために笞を手にしているのだった。

【第六章 叔父・レーニ】

Kと、その叔父レーニ、叔父の知り合い(元クラスメート)であるフルト弁護士の3人が、弁護士の部屋で話をしている場面。いろいろ話して、さんざん時間が経った後、

(弁護士)「(略)そんなわけで、たとえばちょうど今も、うれしいお客が来ておられるんです」そして彼は部屋の暗いかたすみを示すのだった。

「いったいどこに?」とKはびっくりしたとたんに、ほとんど乱暴な調子でたずねた。

おぼつかない様子で彼はあたりを見まわした。小さなろうそくの光は、むこう側の壁まではとてもとどかなかった。ところがそのかたすみに、ほんとうになにかが動きはじめたのだ。叔父がろうそくを高くかかげてみると、その光をうけて、小さな机のそばに中年の男がすわっているのが見えた。

この男性は、裁判の事務局長を務める人物なのですが、いくら夜で明かりがろうそくだと言っても、部屋にいるひとに気付かないなんて。

ねー、夢っぽくないですか?

登場人物が入れ替わったり、誰ともなしに登場した人がいつの間にか知人になっていたり、夢って登場人物に関して突飛なことが起こりますよね。起こりません?他の人に確認したわけじゃないんで、私だけかもしれませんが。

あと、『審判』で女性が出てくる場面は、なんだかセクシャルな雰囲気がただよって、妄想じみた夢のようでもあります。

私の場合も、夢に出てくる女性には、まとわりついてくるくらいモテてるか、嘲(あざけ)られるくらい嫌われてるかってことが多い気が・・・。屈折してるんですかね?男性諸君、どうですか?

ちなみに、カフカの『田舎医者(A Country Doctor)』という小説を短編映画化したものがYouTubeにありました。

やっぱり変な感じですね。

変なことが起きた時に、「なんかカフカっぽくなーい?」ってのを流行語にしましょうか。

あと、最後に言っておかねば。

『審判』は、忙しい人(忙しがるのが好きな人)には、絶対おすすめしませんよ。「時間を損した」とか言われてもかなわんから。■

審判 (岩波文庫)
審判 (岩波文庫)

毒書案内―人生を狂わせる読んではいけない本
毒書案内―人生を狂わせる読んではいけない本

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