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2010年3月 8日 (月)

『FREE フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』がやったのは、フリーミアムでも何でもないよね

ちょっと前に、これが話題になっていたじゃないですか。

「ネットで全文無料公開の本「フリー」好調 有料版移行で収益 自身の理論“証明”」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/breview/350237/

発売前にインターネットで全文を無料公開した本が、書籍の売り上げでも好調だ。昨年11月にNHK出版から出版された『フリー 〈無料〉からお金を生み出す新戦略』(クリス・アンダーソン著、高橋則明訳)は21日までに約12万部を発行。同書が説くのは、基本版を無料提供し、そのうちの一部ユーザーの有料版への移行で収益を得るというネット時代の新しいビジネス。これを自ら実行し、証明した形だ。(磨井慎吾)

おお、無料でダウンロードできるのかー、すごいなーと思いながらネットで探してみると、すでにダウンロードできない状態だった。

記事をよく読んでみると、

日本でも昨年11月26日の発売に先立ち、同月13日から特設ウェブサイトで1万人限定の全文無料公開を始めたところ、ツイッターなどを中心に反響が大きく、約43時間で定員を突破

なんと、たったの43時間で終了していた。

同書が説くのは、基本版を無料提供し、そのうちの一部ユーザーの有料版への移行で収益を得るというネット時代の新しいビジネス。これを自ら実行し、証明した形だ。

なんて記事には書いてあるし、記事に限らず、「持論通りの売り方をした」みたいに言われることも多いようですけど、ごく少数の無料版を配ってプロモーションするってのは、別に目新しいことではないような。

映画の試写会とか、献本とか、試供品とか、そんなんと大した違いはないですよね。もちろん、発売前の本をダウンロード可能にしたってところは、すごく斬新だと思います。

そして、たったの1万人であったとしても、いち早く聞きつけてダウンロードにありつけたのは、きっとアンテナをしっかり張っている人たちであり、つまりプロモーションとしては、とてもうまくて、そして成功した。

でも、「95%を無料で配布し、5%から収益を上げる」というのとは、直接的な関係はないものだと思います。

おそらく、ダウンロードしたいと思って、できた人よりできなかった人の数の方が断然多いんではないでしょうか。その人数は、今も増え続けているのですから。

無料で配布した割合は、「ダウンロードしたい」と思った人の人数から見れば、95%どころか、5%を切るでしょうね。

それに比べると、下記の試みの方が、より「フリー」な動きに近いのではないでしょうか。

文芸春秋の新書ですでに発売されている『生命保険のカラクリ』という書籍が、全文無料でダウンロードできるようになっています。ダウンロードできるサイトは以下。

『生命保険のカラクリ』(岩瀬 大輔・著) | 文春新書 ほか | 書籍情報 | 文藝春秋
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607235

2010年4月15日までという期間の限定はあるものの、数量限定はありません。

もちろん『FREE』が取ったプロモーションの二番煎じではありますが、だからこそ、話題性のインパクトは弱く、かえって、書籍におけるフリーミアム的戦略が成り立つのかという検証としては有効な気がします。

書籍なので、5%のプレミアム購買者なんてのはないんでしょうが、本書の内容が良ければ次に出版される書籍の売上に好影響が出るでしょうし、著者も出版社もそのことを念頭においての戦略でしょうね。

「この本が無料でダウンロードできるぞ!」なんて、誰も騒がなくなっても、なお、この戦略を取る出版社・著者が現れ続けるようならば、そのときこそ、この戦略が実効性があるものかどうかという検証ができるときなんだと思います。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

生命保険のカラクリ (文春新書)
生命保険のカラクリ (文春新書)

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