クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで出版された珍しい書籍
ちょっと前にこの本を読みまして、
CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ (NT2X)
とても面白い本だったのですが、それは置いといて、興味深かった点。
この本、なんとクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下CCライセンス)扱いなんです。
本書は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス「表示-非営利-改変禁止」で使用許諾されます。以下の条件に従う場合に限り、本作品を自由に複写・複製等できます。
1.原著作者のクレジットを表示すること
2.営利目的で利用しないこと
3.改変または加工しないこと
画像や音源など、ネット上で流通しているものに、CCライセンスが適用されていることは良くあるんですが、普通に出版されている物理的な書籍に適用されているのは初めてみました。なかなか実験的な試みですね。
これに関して、著者の一人である小寺信良さんが、コラムを書いています。
ITmedia +D LifeStyle:クリエイティブ・コモンズに賭けた「コンテンツの未来」
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0709/18/news008.html
アナログの本からデジタルデータを起こすのは時間や手間がかかるため、そこまでやる人であれば、なんらかのポリシーを持って望んでくれると想定していたし、それがまたコンテンツ流通のあり方を変える新しい流れを作ってくれるかもしれないと思ったからである。
面白い何かが起きることを期待していたようなニュアンスが読み取れますが、このCCライセンスじゃ無理じゃないかなあという気がします。
「改変または加工しないこと」
これじゃあ、何もできないよ。(商用利用もNGだし)
上記のコラムの最初の方で触れられている効果、
我々の本はCCにすることで、これら教育機関の利用においても複製・配布が自由で、補償金の支払いを求めていない。また著作権法上で認められていない組織、例えば大学の一般公開ゼミや、どこかの団体が開催する勉強会といったところでの活用も、促進したいと考えている。
くらいが関の山かなあ。
あと、
アナログの本からデジタルデータを起こすのは時間や手間がかかるため、そこまでやる人であれば、なんらかのポリシーを持って望んでくれると想定していたし、それがまたコンテンツ流通のあり方を変える新しい流れを作ってくれるかもしれないと思ったからである。
これもちょっと見当はずれな気がします。誰だって使いやすいものを使いたいでしょ。クリエイティブな感覚を持った逸材であろうとも。結局、アナログのみでの提供は、新しい何かをやる可能性のある人に対して、狭い入口を見せたにすぎないんじゃないでしょうか。
もっとゆるいCCが、書籍(物理・電子問わず)の売上や、そこに書かれている内容の流布、そして権利者の利害にどんな影響を与えるのか?
誰か大損覚悟でやってくれないですかねえ。そして意外に損はしないのかもなんて気も。無責任な立場からで申し訳ないですけど。
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