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2010年12月11日 (土)

CDはこんなにも売れなくなった、というより、CDはこんなにも売れていたんだなあ

2010年12月6日放送のHEY!HEY!HEY!で「最も売れたアーティスト全部見せます」と題して、放送開始の1994年から今年2010年まで、年間のCD売上が最も多かったアーティストを紹介していました。

番組中では誰が売れたか、連覇したかみたいな視点が中心で、売上枚数の推移には触れていなかったんですが、全体通して見ていると、年によって売上数がかなり違うんだなあと驚きました。

CDが売れなくなった、ってよく聞きますが、落差が結構すごいですね。

では、HEY3が始まって初期の頃、

1994年 Mr.Children 合計 511万枚
内訳
・216.0万枚 Tomorrow never knows
・182.0万枚 innocent world

1995年 Mr.Children 合計 668万枚
内訳
・179.0万枚 シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~
・157.0万枚 【es】~Theme of es~

1996年 安室奈美恵 合計 465.6万枚
内訳
・137.2万枚 Don't wanna cry
・136.2万枚 Chase the Chance
・109.9万枚 You're my sunshine

1997年 安室奈美恵 合計 408万枚
内訳
・222.3万枚 CAN YOU CELEBRATE?
・106.7万枚 a walk in the park
・ 77.2万枚 How to be a Girl

1998年 L'Arc~en~Ciel 合計 662.1万枚
内訳
・117.3万枚 HONEY
・101.0万枚 花葬
・ 99.7万枚 snow drop

1999年 宇多田ヒカル 合計 538.4万枚
内訳
・206.3万枚 Automatic/time will tell
・129.0万枚 Addicted To You
・122.7万枚 Movin'on without you

年間1位の人のCDトップ3がほとんどミリオンという状況。

内訳は省きますが、その後も2001年までは好調で、

2000年 倉木麻衣           合計 438.6万枚
2001年 浜崎あゆみ        合計 532.8万枚
2002年 浜崎あゆみ        合計 247.1万枚
2003年 SMAP                合計 211.2万枚
2004年 ORANGE RANGE 合計 166.1万枚
2005年 ORANGE RANGE 合計 225.0万枚
2006年 KAT-TUN           合計 201.6万枚
2007年 秋川雅史           合計 111.5万枚
2008年 嵐                    合計 198.7万枚
2009年 嵐                    合計 235.6万枚

2002から明らかに落ち込んでますね。バブル崩壊?って一瞬思ったんですが、バブルがはじけつつあったのは、1990年代の初め頃だそうなので、時期は全然ずれていますね。

2007年の111.5万枚ってのは極端ですよね。ご存知の通り、秋川雅史の「千の風になって」1枚の売上が、年間アーティストの1位という状況。この年の、2位は宇多田ヒカル、3位はKAT-TUNでした。他のアーティストは複数枚出している人が多いでしょうから、よほどCDが売れない年だったんでしょうね。

そして、2008年からは多少持ち直した感じがあり、今年2010年は、3連覇の嵐でした。

2010年 嵐           合計 382.4万枚
  内訳
  ・69.9万枚 Troublemaker
  ・69.6万枚 Monster
  ・64.0万枚 果てない空

で、CDの売り上げは回復しているのかというとそんなこともないんじゃないかと。

ここ最近の上昇は、嵐の人気のみに支えられているだけですからねえ。

全体を見て、CDってこんなにも売れなくなった、というよりは、こんなにも売れていたんだなあという印象。

よく音楽業界がCDの売れ行き低迷を違法アップロードのせいにして(そして2ちゃんねるあたりで盛り上がって)いますが、やっぱりそうじゃなさそう。

嵐のCDを買ったり、わざわざデジタルオーディオプレイヤーに入れて聴く人って、コアなファンだけなんじゃないかと。だからここ最近の嵐の売上はコアなファンに支えられている。

で、90年代のミスチルや安室が売れていた頃って、コアじゃないファンもCDを買ったり、レンタルで借りたりして聴いたんじゃないかなあと。

そのコアじゃないファン層がどこに行ったかというと、音楽以外のところいったんじゃないかと。浮動票だったんですよ、たぶん。

趣味や娯楽が多様化して、音楽聴く以外にもいろいろありますからね。とりわけ携帯やネットあたりに取られているんでしょうか。ゲームかもしれないし、ブログやツイッター(書く人、読む人)、あとずーっと携帯メールしているとか。

YouTubeあたりで(違法アップロードの)音楽見てたりして。でも、その層ってのは、まだ音楽にとどまっているだけに、音楽業界からしてみれば、まだ味方のほうなんじゃないかなあ。

問題は、「お金を払わずに音楽を聴く人が多くなった」わけではなく、「音楽を聴かない人が多くなった」だけなんじゃないかと。

私的コピーや、ファイル共有が、売上にどういう影響を与えるかを調査した本があったのですが、

私的コピーは被害を与えない

結果としてはそれほど悪影響を与えていないのではないかというものでした。

コピーしまくって、聞きまくっているような人っていると思うんですけど、そういうタイプの人からコピー手段を奪ったところで、買いまくったりはしないわけだし。

やはり音楽ファン(誰々のファン)という全体のパイを大きくするのが大事で、それを大きくすれば、CDに限らず音楽から得られる利益が大きくなるんだと思うんですよ。例え、そのファンの中にお金を払わない人が一部混ざっていたとしても。

フリーコピーの経済学―デジタル化とコンテンツビジネスの未来
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