「モルグ街の殺人事件」とMHK「名探偵 三河安城シリーズ」
ちょっとした類似点をつついてみる、のコーナーです。
(ネタバレありなので注意)
2011年11月5日放送の「松本人志のコントMHK」の最後のコント「名探偵 三河安城シリーズ」なんですが、犯人は「娘ゴリラ」さんでした。
娘ゴリラさん
「犯人が類人猿」と言えば、そう、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」ですね。
下記は、青空文庫より。デュパンというのが探偵役(?)です。
モルグ街の殺人事件 THE MURDERS IN THE RUE MORGUE
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe
佐々木直次郎訳
「こりゃあ人間の指の痕じゃないよ」と私は言った。
「じゃあ今度は」とデュパンが答えた。「キュヴィエのこの章を読んでみたまえ」
それは東インド諸島に棲(す)む黄褐色の大猩々(おおしょうじょう)を解剖学的に、叙述的に、詳しく書いた記事であった。この動物の巨大な身長や、非常な膂力(りょりょく)と活動力や、凶猛な残忍性や、模倣性などは、すべての人によく知られているところである。私はあの殺人が凄惨を極めているわけをすぐに悟った。
「大猩々」って何だよ!?って思いますが、↓別の訳(岩波文庫 中野好夫訳)を見てみると、
「これは、どうも人間の手じゃないねえ。」
「じゃ、一つ、このキュヴィエの本の、ここんとこを読んでみたまえ。」
それは、東インド諸島に棲む黄褐色の大猩々(オラングータン)に関する、詳しい解剖学的な、また同時に、主として叙述的な記事だった。この動物のもつ巨大な体躯、異常な膂力(りょりょく)と行動能力、はなはだしい兇暴性、模範的本能等々は、すでに世間周知の事実だが、僕は、一瞬にして、あの殺人事件の示す凄惨さの意味を、了解した。
「オラングータン」とルビがふられていたので、ああ「オランウータン」のことかと分かりました。
ちなみに、ブラタモリの上野動物の回の時に、江戸時代の史料に「ヲーランウータン」と書かれていて、伸ばす音の位置の微妙な違和感にタモさんがつっこんでいました。
NHK ブラタモリ より
ヲーランウータンの図
惜字帖(早稲田大学図書館所蔵)
検索してみると、所蔵元の早稲田大学が、資料の画像を公開していました。えらい!
↓下記リンク先で鮮明な画像が見られます。
惜字帖(森島中良ヲーランウータン図並賛など) 第1巻 見開71
おお、「ヲーランウータン」。西インドのアンゴラ出身とのこと。
将軍や大名が飼ったり、見世物小屋などで見せられていたことを考えると、モルグ街のやつみたいに凶暴ではなかったようです。
そら、乱暴な人もおとなしい人もいますからね。
(シリーズ「オランウータンと私」終わり)
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