志賀直哉「好人物の夫婦」と、さだまさし「関白宣言」
類似性を見つけて楽しもうのコーナーです。
本棚から、志賀直哉の「城の崎にて」(標題作品を収録した短編集)の文庫本を引っ張り出して読んでおりましたところ、「好人物の夫婦」という作品でこんな場面が。
(夫が、妻を家に残して、遠方に旅行に出る計画の話をしている)
「旅行おしんなってもいいんだけど、――いやなことをおしんなっちゃあいやよ」
「いやなこと」というのは、つまり、遊びの類のことで、浮気みたいな感じでしょうか。
「貴方がそんなことをしないとはっきり言って下されば少しくらい淋しくてもこの間から旅行はしたがっていらしたんだから我慢してお留守しているんですけど」
「きっとそんなことをしようというんじゃないよ。しないかも知れない。そんなら多分しない。なるべくそうする。――しかし必ずしもしなくないかも知れない」
お、この、否定はしつつも断言はしない感じ、どこかで見覚え(聞き覚え)が・・・
そう、さだまさしの「関白宣言」
それからつまらぬシットはするな
俺は浮気はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな
ま、ちょっと覚悟はしておけ
うん、嫁にはこれくらいの強気な感じで行きたい。
まあでも、「女房の妬くほど亭主もてもせず」ってのが常だったりして。
で、今回はなかなか人が気付かなそうな微妙な感じのを見つけたぞ、うんうん。
と思いつつも、念のため検索してみると、指摘されている方がおられました。
66.小僧の神様・城の埼にて: 読書の記録 (日本近代文学)
話は変わるが、この新潮文庫の短編集の中に、「好人物の夫婦」という小説がある。女中の妊娠を巡っての夫婦の心理的なやりとりを描いたものであるが、これを読み進めているとき、歌謡曲でサダマサシの「関白宣言」の歌詞が頭に浮かんだ。
すごく画期的なアイデアを思いついたんだけど、って人に自慢げに話したら、それすでにあるよ的な返しをされたような心境。
でも、自分の感覚がとんちんかんじゃなかったという安心感もあり。
あと、2ちゃんねるでも書き込んでいる人もいました。
上記のスレッドで、突然、
593 : 実篤 : 03/03/02 21:54 ID:hGzSfjBU [1/1回発言]
志賀直哉「好人物の夫婦」より
「きっとそんな事(引用者注:浮気のこと)を仕ようと云うんじゃないよ。仕ないかも知れない。そんなら多分しない。なるべくそうする。---然し必ずしも仕なくないかも知れない」
あまりに、突然すぎて、「誤爆?」(=スレッドを間違えて書き込んだ)なんて、反応もありつつ、
要するに、さだは、志賀直哉をぱくった、といいたいんじゃない?ぱくった、ってかパロった?
と、関白宣言のことであろうと気付いた人もおり。
でも、あんな微妙な類似性でパクったなんて言い方じゃ、何も書けなくなってしまう。
「メロン食って、なんか思い出した」みたいな話をしたら、万葉集のパクリになってしまう。
ただ、さだ氏が「好人物の夫婦」を意識していたかどうか、読んだことがあるかどうかは、ちょっと興味がありますね。
そして、ここはひとつ、「夫婦の関係観の変遷」みたいなものを読みとりたいところですね。大正→昭和→平成の。
もし平成の現代でこんな感じに強気な発言を重ねていると、何かあった時の、裁判の際に不利に働きそう。せちがらい。
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