ジャイアンリサイタルと落語「寝床」
ちょっとした類似性を楽しもうのコーナーです。
藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 11巻に収録されている「かしきり電話」での一場面。
何の因果か、ドラえもんとのび太が、ジャイアンリサイタルの動員係をやらされています。みんなの家を回るのですが、
スネ夫 「イタタ・・・腹がいたい。」
男の子 「指にトゲがささったから、行けない。」
静香 「ちょっとかぜぎみで・・・。コホコホ。」
仮病や無理やりな理由で、断ろうとします。
あ、このシチュエーション、なんだか見覚えが。
そう、落語の「寝床」。
下手の横好きの義太夫(節を付けて物語を語るようなもの)を披露したがる旦那。使用人や店子(たなこ=所有している長屋の住人)に聞かせようとするも、いろんな理由を付けて断られるという場面があります。
NHKの「日本の話芸」で放送されていた、橘屋円蔵(圓蔵)の「寝床」だと、
提灯屋や豆腐屋は急な仕事が入り、小間物屋はおかみさんが臨月、使用人をあたってみると、二日酔いだ、脚気(かっけ)だ、歯痛だ、と仮病くさい理由を並べ、奥さんにいたっては、義太夫の会の話を聞いた途端、子供を連れて「疎開」するという嫌われぶり。
どこも悪くない使用人の茂蔵は「あたしが一手に引き受けりゃいいんです」と嘆く
ちなみにこの口演では、↓こんなアレンジが入っていて、
「志ん朝はどうした?」
「死にました」
「円楽はどうした?」
「この間まで生きてましたけど、死にました」
いい芸を持っている人は早く死んじゃうね。「それじゃ、円蔵はどうした?」「まだピンピンしてます」みたいな笑いを入れてきます。
そして、その流れで、
「談志はどうした?」
なんて、くだりもあって(当時は立川談志は存命だが闘病中だった)、こういう不謹慎すれすれのところでの笑いというのも、落語の面白みだったりします。■
[2012年3月31日追記]
藤子先生は落語が好きだったらしく、他にこんなのもありました↓
ドラえもんと落語「らくだ」
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