「モンドセレクション受賞」の商品が多すぎるワケ
私が最初に意識したモンドセレクション受賞の食品は、ブルボンの「ピッカラ」でした。ブルボンのサイトの年表によると、昭和56年に金賞を受賞したとのこと。
計算してみると、私が8歳の時になりますが、円筒形のパッケージに受賞した旨が印刷されており、「何かの賞を取ったんだなあ」程度に考えていました。
次に記憶に残っているのが、ハタダの「栗タルト」。愛媛のお土産でお馴染みのタルトに栗を入れたもの。畑田本舗のサイトを見てみると受賞歴がものすごいことになっていて、最高金賞が5年連続、金賞と合わせると、18年連続受賞だそうです。
で、ピッカラも栗タルトも十分に美味しいので、特に疑問には思っていませんでした。
が、ちょっと前にたまたま見たテレビの通販番組で売られていた「モンドセレクション受賞」の食品を見て、「あれ?変じゃない?」って思ったんですよ。
だって、それって錠剤状の健康食品で、どう考えたって、味わうとかそういうもんじゃなかったんですよね。
あと、これ↓たまたま見かけたニュースなんですけど、
橋下市長が一蹴、大阪市の水道水「ほんまや」製造中止へ:イザ!
製品品質の評価機関「モンドセレクション」の金賞を受賞したこともある看板商品だったが、(後略)
そしてこの「ほんまや」というのは何かというと、「市の水道水をペットボトル詰めした飲料」とのこと。
ふつふつと沸き上がる疑問。基準は味じゃないの?そもそも、モンドセレクションって何?
ウィキペディアで確認だ。
審査基準の詳細は非公表だが、「味覚」「衛生」「パッケージに記載されている成分などが正しいか」「原材料」等の項目だといわれている。
「味覚」は分かるけど、「衛生」ってどうやって判断するんだろう? そういうのって工場とかをチェックしないと分からなそうだし。あと、「パッケージに記載されている成分などが正し」くなかったら、賞とか以前の問題で、偽装表示ですな。
まあでも、審査基準は基本「非公表」ということらしい。
で、この審査で、
100点満点の
90点以上で特別(最高)金賞(グランドゴールドメダル)
80点以上で金賞(ゴールドメダル)
70点以上で銀賞(シルバーメダル)
60点以上で銅賞(ブロンズメダル)
が決まるそうです。上記を見てお気づきだと思いますが、絶対評価なんですね。トップの食品をいくつか決めるのではなく、個々の食品の採点で独立に決まるという。
なので、「賞」というよりは「認証」なんですよね。ウィキペディアにも、下記のように書かれています。
モンドセレクション(Monde Selection)とは、食品分野を中心とした製品の技術的水準を審査するベルギー政府系の民間団体、またはそこから与えられる認証(この組織では賞と表記している)である
あと、最高金賞、金賞はよく見かけますが、銀賞、銅賞がパッケージに記載されているのって見かけたことがない。ある意味、金賞には至らなかった、ってことですからね。
IPPONグランプリのお題
「『牛乳は噛んで飲むといい』みたいな事を教えて下さい」
に対する回答、
「英検4級くらいなら書かない方がいい」
ってのを思い出しました。
絶対評価ってことは、授賞される食品の数は決まっていないということ。では、いったいどれくらいの数の食品が受賞しているのだろうというのが気になるところ。
過去の受賞食品の全リストが見られたらな、と思ったのですが、
今さらながら、モンドセレクションって何? [グルメ・各国料理(海外)] All About
ちなみに企業によってはとくに受賞の公表を望まない場合もあるので、受賞リストの公開はしていません(もちろん各企業がPRすることはできますが)。
とのこと。
でも、受賞食品(たぶんメーカーが公表したもののみ)をまとめたサイト↓があったので、参考になるんじゃないかと。
出品しているメーカーのみの受賞となるので、メーカーが偏るのは自然なこと。
で、総合して考えますと、モンドセレクションというのは、(非公開の)ある基準を満たしていることのお墨付きにはなるけど、そのジャンルのトップになったという意味ではないって事ですね。
プレミアム・モルツが最高金賞を取ったからと言って、エビスに勝ったとかそういうことにはならないんですよね。エビスは出品していないというだけで。
あくまで対象は、1000ユーロ(=約10万円 2012年1月頃のレートで)の審査料を払って審査依頼してきたものに限定されるので。
結局、受賞するかどうかは、企業がこの「お墨付き」に積極的かどうか、マーケティングとかプロモーションの戦略として採用するかどうかとか、そのへんが大きいんじゃないかなあと。
ヨーロッパの一国の、ベルギーの一団体の認証にすぎないんですから。
ウィキペディアによると、↓こんな状況だそうだし。
なお国際的にはほとんど無名である一方、日本国内で近年急激に知名度が上がったため審査対象品の5割が日本からの出品という状態にある。さらに、日本から出品した食品の8割が入賞している。
日本が5割ってことは、本国ベルギーのものより多いってことじゃん。かなりのお得意さん。
ビールとか、向こうが本家のものならまだ分かるんだけど、和菓子とか日本酒とか醤油とかのお墨付きを、何もベルギーにもらわんでも・・・
あと、モンドセレクション受賞をアピールしているメーカーのサイトを見てみると、「世界的に権威のある」とか、「食のオリンピック」とか、「食のノーベル賞」なんて表現がしてあって、そこまで言っていいのだろうか、とちょっと心配。
評価基準を海外に求めてしまうという点で、この話を思い出した↓
48. 村上春樹が「世界」でどう読まれているかなんて、気にする理由あるの?:日経ビジネスオンライン
とはいえ、レンタルビデオ屋で、迷ったあげく、「アカデミー賞受賞作品コーナー」に行ってしまうことがある私としては、あまり人の事は言えないんですけどね・・・。
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