ドラえもんと落語「らくだ」
ちょっと前に、ジャイアンリサイタルのシチュエーションが「寝床」という落語を彷彿とさせる、なんてことを書いて↓
我ながらするどい視点。ぼくって、目の付けどころがシャープでしょ、なんて悦に入っていたら、とっくの昔にそのことを指摘している記事があった↓
ジャイアンリサイタルは落語が元ネタだった!?(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース
で、上記の記事を読んでいると、
調べてみると、藤子・F・不二雄先生は、「映画やクラシック好き」として知られている他に、「大の落語好き」でもあったことがわかった(藤子作品通の方は、すでによくご存知かもしれませんが)。
なるほど、納得。たしかにドラえもんには落語が元ネタになっているかも?っていう場面が結構あります。
例えば、てんとう虫コミックスの30巻に収録されている「ホンワカキャップ」。
キャップを通したジュースを飲むと、お酒みたいに酔うことができるという道具をジャイアンが入手。
ジャイアンに飲み(?)に誘われたスネ夫は、塾に行くからと最初は断ろうとするんだけど、半ば強引に飲まされます。最初はいつもの力関係なんですが、酔ってきたスネ夫が、ジャイアンの歌に「ケッ!やめろやめろ、へたくそ。」と言ったり、コップを差し出し「ほれ!・・・つげよ。」と言ったり、酒(ほんとはコーラだけど)がなくなると、
買ってこい!!
って言ったり。
弱い立場のキャラが、実は酒癖が悪くて、酔うのにしたがって、立場が逆転してしまう。
これって、まさに落語「らくだ」に近い状況ですよね。
あと、こんなのもありました↓
くず~~い おはらい。
藤子・F・不二雄大全集の1巻に収録されている「タイムふろしき」の一場面です。いらなくなったものをみんなからもらって、タイムふろしきで新しくして、売ってしまおうなんて魂胆。
でも、「くずーい、おはらい」なんてフレーズ、若い人は知らないでしょうねえ。
屑屋という商売をリアルタイムで知っているのはかなりの年配の世代でしょうね。四十歳目前の私も知りません。
この屑屋さんは、落語にはよく登場する職業で、さきほどの「らくだ」で、酒を飲んで豹変する登場人物の職業は、くずやさんだったりします。
くずやが主人公と言えば、「井戸の茶碗」という噺もあります。
古今亭圓菊師匠の口演(NHK「日本の話芸」)のマクラより、
いつの間にかいなくなっちゃったと言うのは、屑屋さん。紙屑屋さん。
「くずーいー、おはらーいー」なんて長屋を。
まだお耳に残っている方もいると思いますけど。
イイノホールのお客さんは年配の人が多いだろうから、お馴染みの掛け声なのかもしれませんが、ドラえもんの読者の年齢層がどれだけピンとくるかは微妙なところ。
こういう、掛け声をさりげなく漫画に織り込んでくるあたり、やっぱり、藤子先生は落語好きだったんだなあって思います。
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