19世紀の科学のレベルが思いのほか高かった ファラデー『ロウソクの科学』
前回↓、書ききれなかった件。
NHKで番組化してほしい、ファラデーの『ロウソクの科学』: 主張
書籍のタイトルが「ロウソクの科学」だから、講義の内容は、まあ、燃焼するには酸素が必要とか、燃焼したら二酸化炭素が出ますとか、実は水も出てますとか、そういうくらいの実験範囲かなーと、漠然と思ってました。
でも、本書に登場する実験を見ていると、この講演が行われた1860年って、もうすでにけっこう科学が進んでいたんですね。
例えば、カリウムと水が激しく反応する実験とかも見せているんですよね。
第三講より、
ここに用意したのはハンフリー・デイヴィー卿が発見された物質で、水に対してたいへん激しい作用をしますから、これで水の存在を証明しましょう。これはカリウムといって、ポタシから得られるのですが、そのカリウムを少し取って水を入れてある容器に入れます。カリウムは光り輝き、水に浮いて走り回り、紫の炎をあげて燃え、水の存在を示してくれます。
訳注には化学式での補足がありました。
2K + 2H2O → 2KOH + H2↑
あんな、すぐに酸化しちゃう金属の分離も、すでにできていたんですね。
まあ、私が1860年をあなどり過ぎってのもあるかもしれませんが・・・
1860年代というと(1860年代 - Wikipedia)、日本だと
1860年
3月24日(安政7年3月3日) - 桜田門外の変で、大老井伊直弼が暗殺される。
1866年
3月7日(慶應2年1月21日) - 薩長同盟成立。
1867年
12月10日(慶応3年11月15日) - 坂本龍馬が暗殺される。
とかですからね。幕末の頃ですね。
あと、amazonのレビューで「説明図が圧倒的に少ない」とあったのを見ていたから、余計にそう思ったのでしょうが、図は思ったよりは多いと感じました。理科の教科書とかには、かないませんけど。
例えば、第三講に載っていた図を列挙すると、
燃焼で生じた水(気体)を冷やして液体にしている
同量の物質でも、気体と液体で体積がこんなにも違う
鉄を水蒸気で酸化する。水は還元され(酸素が奪われ)、水素が発生する
水素は軽いから、こんな感じで「そそぐ」ことができる
亜鉛と酸で水素を発生させ、水上置換(左)
その後、火をつけて燃やしている(右)
これはファラデーがやったわけではないけど、実験の趣旨が良く分かるもの。
水素のつまったシャボン玉は一気に昇っていく
だいたい2,3ページに1枚くらいの割合で図がありました。
絵のタッチがレトロなところも、なかなか良いと思います。
« NHKで番組化してほしい、ファラデーの『ロウソクの科学』 | トップページ | 無印の手帳(2013年版)の表紙がエンボス加工に »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 小僧寿しの由来は志賀直哉の『小僧の神様』・・・なのか?(2021.12.28)
- 「エレガントな問題解決」演習問題 2.1.27(d)の解答(辺の長さ1の四角錐と正四面体の貼り合わせ)(2017.02.01)
- 「エレガントな問題解決」演習問題 2.1.27(a)の解答(5つの10年区切りを生きたマーサの年齢)(2016.12.14)
- 「エレガントな問題解決」演習問題 2.1.25の解答(分母が3つの項の積になっている数列の和)(2016.11.17)
- 「エレガントな問題解決」演習問題 2.1.22の解答(コーヒーとミルクの割合)(2016.11.15)
「育児」カテゴリの記事
- 『あなたのことがだーいすき』の茶色い小熊(2019.12.22)
- 神奈川県公立高校県外受験の困難さ ~面接日程 編~(2018.11.09)
- それは「電子顕微鏡」ではなく「デジタル顕微鏡」です(2017.03.12)
- パチンコ玉が欲しいときは、エポック社から買える(2017.02.19)
- 宇多田ヒカルはJASRACから著作権管理を引き上げて、NexToneにでも委託したら?(2017.02.12)
« NHKで番組化してほしい、ファラデーの『ロウソクの科学』 | トップページ | 無印の手帳(2013年版)の表紙がエンボス加工に »
コメント