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2012年12月24日 (月)

19世紀の科学のレベルが思いのほか高かった ファラデー『ロウソクの科学』

前回↓、書ききれなかった件。

NHKで番組化してほしい、ファラデーの『ロウソクの科学』: 主張

書籍のタイトルが「ロウソクの科学」だから、講義の内容は、まあ、燃焼するには酸素が必要とか、燃焼したら二酸化炭素が出ますとか、実は水も出てますとか、そういうくらいの実験範囲かなーと、漠然と思ってました。

でも、本書に登場する実験を見ていると、この講演が行われた1860年って、もうすでにけっこう科学が進んでいたんですね。

例えば、カリウムと水が激しく反応する実験とかも見せているんですよね。

第三講より、

ここに用意したのはハンフリー・デイヴィー卿が発見された物質で、水に対してたいへん激しい作用をしますから、これで水の存在を証明しましょう。これはカリウムといって、ポタシから得られるのですが、そのカリウムを少し取って水を入れてある容器に入れます。カリウムは光り輝き、水に浮いて走り回り、紫の炎をあげて燃え、水の存在を示してくれます。

訳注には化学式での補足がありました。

2K + 2H2O → 2KOH + H2

あんな、すぐに酸化しちゃう金属の分離も、すでにできていたんですね。

まあ、私が1860年をあなどり過ぎってのもあるかもしれませんが・・・

1860年代というと(1860年代 - Wikipedia)、日本だと

1860年
3月24日(安政7年3月3日) - 桜田門外の変で、大老井伊直弼が暗殺される。

1866年
3月7日(慶應2年1月21日) - 薩長同盟成立。

1867年
12月10日(慶応3年11月15日) - 坂本龍馬が暗殺される。


とかですからね。幕末の頃ですね。

あと、amazonのレビューで「説明図が圧倒的に少ない」とあったのを見ていたから、余計にそう思ったのでしょうが、図は思ったよりは多いと感じました。理科の教科書とかには、かないませんけど。

例えば、第三講に載っていた図を列挙すると、

燃焼で発生した水を液化「ロウソクの科学」
燃焼で生じた水(気体)を冷やして液体にしている

水蒸気と大気圧「ロウソクの科学」
水蒸気で満たした缶にフタをして、冷やすとベコっとつぶれる

気体と液体の体積差「ロウソクの科学」
同量の物質でも、気体と液体で体積がこんなにも違う

水蒸気で鉄を酸化「ロウソクの科学」
鉄を水蒸気で酸化する。水は還元され(酸素が奪われ)、水素が発生する

水素を上方置換「ロウソクの科学」
水素は軽いから、こんな感じで「そそぐ」ことができる

水素の水上置換「ロウソクの科学」
亜鉛と酸で水素を発生させ、水上置換(左)
その後、火をつけて燃やしている(右)

賢者の燈「ロウソクの科学」
発生した水素をランプみたいな感じで燃やしている

水素の燃焼で発生した水の液化「ロウソクの科学」
水素が燃えて発生した水を、冷やして液体にして確認

水素シャボン玉「ロウソクの科学」
これはファラデーがやったわけではないけど、実験の趣旨が良く分かるもの。
水素のつまったシャボン玉は一気に昇っていく

だいたい2,3ページに1枚くらいの割合で図がありました。

絵のタッチがレトロなところも、なかなか良いと思います。

ロウソクの科学 (岩波文庫)
ロウソクの科学 (岩波文庫)

実験・観察 電流の働き基本実験セット
実験・観察 電流の働き基本実験セット

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