« water front ポケフラットがチクチクする(グラスファイバーのトゲ?) | トップページ | 証明写真を自作して運転免許証の更新をしました »

2013年10月23日 (水)

落語「二十四孝」と差別表現(「片ちんば」「てんかん」「やぶにらみ」「ちゃんころ」)

ちょっと前(2013年8月18日)に放送されたTBSの「落語研究会」を見ておりましたところ、冒頭に↓こんな注釈が。

TBS落語研究会 不適切な表現についてのお断わり
これから放送する作品には 一部不適切な表現がありますが
作品の時代性とオリジナリティを尊重し そのまま放送します

演者は柳家小満ん、演目は「二十四孝」。二十四孝ってそんな話だったっけ?

じっくり聞いておりますと、なかなかのオンパレードでした。

まずは、鯵を盗んだ猫を飼っている隣家に向かって、八五郎が怒鳴っているのを聞いて、八五郎の奥さんが止めに入る場面。(時間表示は私の持っている録画ファイルのものなので、自分用のメモです)

13:09
八五郎 「んなこと知らねえもんだから、その声聞いてね、うちのかかぁがさ、足駄と草履と片ちんばにぴょこひょんぴょこひょんと出てきやがってね」

元は片方の足が不自由なことを指すのですが、ここでは、奥さんの足が悪い訳ではなく、左右に別の履物を履いていることを表しています。(参考:片跛(かたちんば) - 日本語俗語辞書

左右で同じ履物を履く余裕がないくらい、奥さんがあわてて家から出てきた、というのを表現する意図でしょうか。

次は、池の氷に寝転がり、体温で氷を溶かして、氷の下の鯉を獲った王祥(おうしょう)の逸話に、だったら自分が池に落ちるだろ、という八五郎のツッコミに対しての大家さんの返し。

26:32
大家 「いや、池に落ちずして鯉を得る(うる)という、これがつまり孝行の徳によって天の感ずるところだな」

八五郎 「なんだいその天の感ずるところたぁ」

大家 「天が憐れんでお助けくだすった」

八五郎 「へー。『天の感ずる』ったら癲癇(てんかん)じゃねえか。癲癇だったら、頭に草履かなんかのっけときゃよさそうなもんじゃねえかよ」

この発言の意味が分からない方は、↓こちらが参考になります。

ツボの知識

「癲癇」という疾患では発作が起きたとき古人は「草履を頭に乗せる」ことをお聞きになったことはないでしょうか?お年寄りに伺ってください。癲癇は「天に感じる病だからいつも地に接している(感じてる)草履を頭に乗せることで中和(陰陽バランスを取る)ことで治そうとしたからです。

次は、母親がタケノコを食べたいというものの、冬であるために手に入らず、(祈って)天を睨んだという孟宗(もうそう)のエピソードを聞いた八五郎の反応。

27:42
八五郎 「馬鹿な野郎だなぁ、その野郎は。タケノコがねえって天を睨んでどうすんだ。タケノコなんだから、藪の中睨むがいいじゃないか。あぁ、分かったい、それでなんだな、見当違いを『やぶにらみ』ってのはここから始まったか」

「藪睨み」には斜視の意味もありますが、「見方や考え方が見当違いであること」というときにも使われます。(参考:やぶにらみ【藪睨み】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

そして最後は、八五郎が聞きかじった知識をたまたま通りがかった半公に話す場面。

39:34
八五郎 「おめえはナニを知っているかい」

半公 「なんだい」

八五郎 「『唐土(もろこし)』だい。『もろこし』ったって団子じゃねえぞ。今のチャンコロだな」

あえてこの表現を使う必要があるのかどうか微妙ですねえ。「今の中国」でいいじゃないかと。ただ、この落語が作られた頃には、「中国」なんて呼び方はしなかったのかもしれませんが。

私は、立川談志が「チャンコロ姉ちゃん」という言葉を使っていたのを記憶しています。ソープランドに行った時の話で。

でも、その時使っていたのは「ソープ」ではなく、「トルコ風呂」という表現でした。これもまた、今使うといろいろ問題になりそうな表現ですね。さすがに今は、この語弊のある表現を使う人はほとんどいないとは思いますが。

五代目柳屋小さん 名演集3 三軒長屋/道灌/二十四孝
五代目柳屋小さん 名演集3 三軒長屋/道灌/二十四孝

« water front ポケフラットがチクチクする(グラスファイバーのトゲ?) | トップページ | 証明写真を自作して運転免許証の更新をしました »

映画・テレビ」カテゴリの記事

芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« water front ポケフラットがチクチクする(グラスファイバーのトゲ?) | トップページ | 証明写真を自作して運転免許証の更新をしました »

スポンサーリンク


スポンサーリンク


無料ブログはココログ