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2015年2月22日 (日)

フランスで本当にあった「子無し税」「独身税」(税の単身所帯割り増し)

独身/既婚、子供の有無、お金が絡む、となれば2ちゃんねるで盛り上がるのは必至であります。

痛いニュース(ノ∀`) : 33歳女性「子無し税を作るべきだと思います。子有りの方々は子無しの方々より社会に貢献しているから。 - ライブドアブログ

「子供を育てている家庭には今以上の補助を」程度なら受け入れる人も多いのかもしれませんが、独身者や子無し世帯への増税なんて言い方だから反発が大きい。

しかも、具体的な案↓

具体的には30歳以上65歳以下の子無し男女に、毎月月収の2%を納めさせるというのはどうでしょうか?(例:月収30万円なら毎月6000円)

収入のない方々は、役所に行き手続きを踏み、審査が通れば免除。不妊症の方々は、医師の診察所を役所に提出すれば免除。

を提示している割には、その詰めが甘いので、つっこみたくなってしまうのが人情。

他の手当てと並存させるのかとか、所得税や住民税に組み込む形ではないのかとか、結婚できない事情がある場合も免除の対象にするのかとか、いろいろややこしい問題があるはず。お金がなくて結婚できない人に、さらに増税することになりそうだし。

所帯じゃなくて「子無し男女」という表現だから、離婚したらどうなるとか、子供や奥さんが亡くなった場合はどうするのとか。こんな物議をかもしそうな税制はどう考えても非現実的。

でも、この本→(「2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い」)で勉強(?)した私は、これはこのような税制を望む人からの提案というよりは、「釣り」の類だとにらんでおります。

この人がやりたいのは、「子無し税」の提案や実現ではなく、「既婚者、子有り家庭、手当てを受給している人などをディスること」なんだという。2ちゃんの反応を見ると、この提案者への批判ではなく、

「子有りの母子家庭はナマポたくさん貰ってるだろ」

「社会貢献せずに働いていない生活保護受給者も増税しないといけないな」

「バカ親税、不良税とかもやれよ」

「DQNばかり免税になるじゃん」

「公共の場で子供が騒いで迷惑だから子供税かけるべきだな 」

みたいな感じであらぬ方向へ。

というのはさておき、この話題を目にしたとき、先日見た「パリ白熱教室」を思い出しました。独身者に増税する、子供のいない家庭に増税するというのが実際にフランスで行われていたことが紹介されていました。

以下、「パリ白熱教室 第4回 強まる資産集中~所得データが語る格差の実態~」の放送から書き起こしました。

この時代には税の単身所帯割り増しという制度があった。なんと独身者は25%の税の割り増しがあったのだ。このように税制面で結婚と出産が奨励されていたわけだ。たとえ結婚しても3年間子供ができない所帯に対しては10%の割り増しがあった。
(中略)
政治家の思い込みというのは時として激しく、特にこの時代、フランスの人々は第一次世界大戦のトラウマでドイツに出生率で負けてしまうという強迫観念にとらわれていた。だから、当時フランスは強力な出産奨励策をとった。子供がいなければ増税するというわけだからねえ。この政策は1945年まで続き、家族指数という制度が作られた。

家族指数について語るピケティ教授(パリ白熱教室 第4回 強まる資産集中~所得データが語る格差の実態~より)
フランス出身者以外には家族指数といっても何のことか分からないかもしれないので説明すると、もしあなたが独身だとする、そうしたら家族指数は「1」、結婚したら「2」で、そこに一人子供ができたら「2.5」となる、結婚して子供ができなければ「2」だが、3年経っても子供ができなければ、「1.5」に落ちる。指数が高いほど税が低く、低いほど税が重い、この制度は1945年にできて、1953年頃まで続いた。

25%増しって、えげつない数字ですね。結婚して割り増しがなくなったあと、子供ができなかったら3年後に10%増しになるとか、不妊で悩む人にどんだけ追い討ちかけるんだという感じ。

フランスの出生率は他の欧米諸国や日本と比べると高い数値で推移しているようですが↓

こういった政策が影響しているのでしょうか。

でも、よく見てみたら、このグラフって1960年以降だから、単身者割り増しや家族指数が廃止されたあとの期間ですね。当時のデータがどこかで公開されていないですかね。

あと、なんだか第二次大戦時の連合国と枢軸国に分かれてますね。偶然だとは思いますが・・・。

なぜフランスでは子どもが増えるのか フランス女性のライフスタイル (講談社現代新書)
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