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2015年10月

2015年10月25日 (日)

日本国憲法の前文は文法的に間違っているのか?(「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」)

2015年9月21日の産経新聞に、↓こんな記事がありまして・・・

白人支配の東京裁判 歴史学び「洗脳」解け(産経新聞)

元東京都知事の石原慎太郎氏が、安保、東京裁判、日本国憲法などについて語っているもので、本人が執筆したものではなく、インタビューを記事に起こしたもののようです。(末尾に記者の署名がある)

で、わたくしが今回、「ほんと?」って思ったのが下記の部分、

 GHQの占領下で制定された憲法の前文には助詞の間違いがある。助詞というのは本当に大事なんだ。ガラッと意味が変わってくるんだから。
 憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義『に』信頼して・・・」とあるが、正しくは「信義『を』信頼・・・」だ。「あなたに信頼して金を貸します」ではなく、「あなたを信頼して金を貸します」でしょ。

たしかに、信頼する対象について、「○○に信頼」っては言わない気がする。

検索してみると、この点を指摘しているものがいくつかヒットしまして、

【憲法記念日】櫻井よしこ氏「憲法前文は変な日本語。文法も間違い」「皆さんの命を中国に預けますか?」 憲法フォーラムで基調提言(1/3ページ) - 産経ニュース

 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して…」。これも変な日本語ですね。

というのもありました。

goo辞書で調べてみても、

[名](スル)信じて頼りにすること。頼りになると信じること。また、その気持ち。「―できる人物」「両親の―にこたえる」「医学―する」

とあって、最後の例文を見て分かるように、信頼する対象については「医学」となっています。

でも、これだけで「○○に信頼」が間違いとは言い切れない。そんな言い回しが使われることは本当にないのか?

検索エンジンのおかげで、こういうチェックが簡単にできる時代になりました。

Web全体を検索したのでは、単なる誤用を拾いかねない。ある程度、権威のある文章を対象にしたいですよ。そう、そんな時は青空文庫。今日も快晴です。

googleなら、「site:http://www.aozora.gr.jp/」を検索窓に入力するなんて方法もありますが、そのようなテクを使わなく得も、青空文庫のトップページには、「www.aozora.gr.jp 内を検索 」という検索窓があらかじめ用意されていたりします。ここに "に信頼して" と打って(ダブルクォートが重要)検索するだけでOK。

そうすると、出てくるんだなこれが。

夏目漱石の「それから」には、

彼は又三千代を訪ねた。三千代は前日の如く静に落ち着いていた。微笑と光輝とに満ちていた。春風はゆたかに彼女の眉を吹いた。代助は三千代が己を挙げて自分に信頼している事を知った。その証拠を又眼のあたりに見た時、彼は愛憐の情と気の毒の念に堪えなかった。

というのがあります。同じく夏目漱石の「道草」にも、

健三は全くの無知識であった。熱さえ出ればすぐ産褥熱じゃなかろうかという危惧の念を起した。母から掛り付けて来た産婆に信頼している細君の方がかえって平気であった。

という箇所があります。

漱石だけじゃないよ、寺田寅彦の「方則について」という文章にも、

それならばペンの目方を指定しその落下の状況を予知するには、単に緯度や高さや温度や気圧を知るのみならず全宇宙の現状を知悉する事が必要であろうか。力学物理学の教科書を繙いてみると極めて簡単な言葉で重力の方則や落体運動の方則が述べてある。吾人はこれらの方則に信頼して目方を比較し時計を使用して別に著しい不都合を感じない。これは不思議ではあるまいか。

のように、「○○信頼」というフレーズが出てきます。いずれも「○○信頼」と言い換えても意味が通るもののように思えます。

上記は有名どころ(=寡聞な私でも知っていた書き手)をあげましたが、他の作家の言葉遣いにもたくさん登場しているようです。青空文庫で実際に検索してみてください。

というわけで、「○○に信頼」という言い回しは現代では使われないみたいだけど、以前は使う人もいたわけで、単純に間違いだとは言い切れないんじゃないかという結論に達しました。

そりゃ、アメリカが押し付けたものだとしても、日本人だってたくさん携わっているわけだし、単純な間違いだったら誰かが指摘して修正されてるでしょう、普通。

なんだか、↓これと似た匂いを感じました。

なぜ広まった? 「『全然いい』は誤用」という迷信  :日本経済新聞

すでに古今東西の文章が大量に電子化されているんですから、(ある程度権威のある)前例があるかどうかくらいは、すぐにチェックできるだろうに、という気がしています。

日本語練習帳 (岩波新書)
日本語練習帳 (岩波新書)

2015年10月12日 (月)

キングオブコントの審査員が付けた得点を可視化してみる

いつも見ておりますが、毎回、審査結果にどこかしら納得できないところがあったりします。コロコロチキチキペッパーズだった? どうよ、君?

なんてことがありますため、最終的に誰が優勝したとかどうかよりも、どの審査員が、どのグループを、どう評価したかの方が気になったりします。「えーっ!? さっきのが○点で、今のが○点?」みたいな、ちょっとうがった視点。

昨日(2015年10月11日)のキングオブコントの得点状況は早くも キングオブコント - Wikipedia に記されておりました↓

キングオブコント(ファーストステージ得点詳細)
ファーストステージ得点詳細

数字だけ見てても、なかなか傾向は見えてきませんよね。ちょっと可視化してみましょう↓

キングオブコントの得点のグラフ(横軸はグループ名)

得点を折れ線グラフにしただけですが、なんとなく見えてくるでしょ。

コロチキとロッチが目に見えて高得点を取ってますね。大竹さん(赤)は全体的に高め、松本さん(青)は全体的に低め。設楽さん(黒)は得点にあまり差をつけてませんね。逆に、三村さん(緑)は差の付け方が激しいです。

次は、より審査員に着目してみたもの↓キングオブコントの得点のグラフ(横軸は審査員名)

設楽さんの得点付けが団子状態なのがよく分かります。三村さんは差の付け方も大きいですが、それだけでなく、良かったものとそうでなかったものの間に深い谷がありますね。
こんな感じだと、設楽さんの細かい配点が、三村さんの激しい配点にかき消されちゃうんですよね。

なので、標準偏差が同じになるように正規化してから、正規化した得点の合計で優勝を決めるってのが、特定の審査員の審査結果に左右されにくくなるのではないかと思います。でも、そんな集計方法使ったら、視聴者が混乱するでしょうから、しょうがないんでしょうけど。

ちなみに、私はアキナのコントが一番好きでした。だって、鳥やん?

「『キングオブコントとTV局の事情』岡田斗司夫のひとり夜話 Vol.1 エピソード集」クダトリノ版001-1-1
「『キングオブコントとTV局の事情』岡田斗司夫のひとり夜話 Vol.1 エピソード集」クダトリノ版001-1-1

2015年10月11日 (日)

博多ラーメンは固めではなく普通が吉

博多ラーメンのお店って、麺の固さを指定できるところがほとんどですよね。

で、お店で周りの人の注文を聞いていると、「固め」で注文している人が多い気がします。次に多いのが「普通」で、その次が「バリカタ」くらいかな。「やわ」で注文している人はほとんど見ない気がします。(わたくし調べ)

まあ、お店にもよるんでしょうけど。

私は大抵「普通」で注文しますが、それでも十分に固いなあと思うことが多いです。で、常々思っているんですが、「普通」でこの固さだったら「固め」って相当固いんじゃないかと。それって、本当に美味しいの?と。

で、この前テレビを見ておりましたら、KBC(九州朝日放送)の「土曜もアサデス」という番組で、この疑問に答える企画をやっていました。あ、ちなみにわたくしごとですが、つい最近福岡に越して来ました。

まずは博多の人に、どの固さで食べているかインタビュー。

だいたいカタ麺です
だいたいカタ麺です

いつもカタ麺です
いつもカタ麺です

いつもカタ麺だから
いつもカタ麺だから

と、博多っ子に語らせておきながら、出した結論が↓これ!

博多ラーメンはふつう麺が一番おいしい!
結論
博多ラーメンはふつう麺が一番おいしい!

判断の根拠としていたのは、製麺会社のかたの意見。固いとスープの絡みが悪いというのと、博多ラーメンで使われる麺は水分が少なめなので茹でが足りないと粉っぽくなりやすいというのが、その理由。

デフォルトがどのくらいの茹で具合になっているかはお店次第ではありますが、無自覚に固麺を注文せずに、自分の舌を信じましょう。

ラーメンウォーカームック ラーメンWalker福岡・九州 2016
ラーメンウォーカームック ラーメンWalker福岡・九州 2016

2015年10月10日 (土)

放送大学「食安全性学」のオープニングムービーが変な件

テレビでの放送大学の講義ですが、番組が始まるとまずオープニングのムービーが流れます。大抵は講義の内容に合わせたものになっていて、例えば、

「解析入門 '08」だと、↓ニュートンの肖像が載っているモナコの紙幣
解析入門 '08のオープニング(ニュートンの肖像が載っているモナコの紙幣)

「和歌の心と情景 '10」だと、↓いかにも「和」な感じのこんな映像だったりします。
和歌の心と情景 '10のオープニング

使いまわしている講義もけっこうありますね。

eラーニングの理論と実践 '12のオープニング データからの知識発見のオープニング
eラーニングの理論と実践 '12      データからの知識発見 '12

コンピュータと人間の接点 '13のオープニング ソフトウェアのしくみ '14のオープニング
コンピュータと人間の接点 '13      ソフトウェアのしくみ '14

 

そんな中で異彩を放っているのが、「食安全性学 '14」のオープニングムービーです。

「食安全性学」なので、食中毒などテーマを扱う講義なのですが、それがオープニングに織り込まれています。

食安全性学 '14のオープニング1
キノコを見つけて食べます

食安全性学 '14のオープニング2
あたりました

立ち上がり、再び歩いたあと豆のようなものを発見。

食安全性学 '14のオープニング3
豆をそのまま「放り投げ食べ」します

食安全性学 '14のオープニング4
あたりました

再び立ち上がり、川で魚を釣って・・・

食安全性学 '14のオープニング5
そのまま食べます

食安全性学 '14のオープニング6
あたりました

その後、焚き火で加熱して食べている人を発見し・・・

食安全性学 '14のオープニング7
一緒に仲良く、安全に食べました。

という感じです。

めでたし、めでたしの終わり方ですが、それまでに3回あたってますからね。

豪快に食べ、あたり、それでも立ち上がり、懲りずにまた生で食べることを繰り返す姿はシュールでさえあります。

動画でどうぞ↓

最初のキノコに関しては、鍋にしたからと言って、安全かどうかは微妙かもしれません。

食安全性学 (放送大学教材)
食安全性学 (放送大学教材)

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