先日、福岡市のとある病院でインフルエンザの予防接種を受けました。
その時に渡された紙がこれ↓
インフルエンザ予防接種後の注意
1. 接種後は接種部位を10分くらい良くもんで下さい。
2. 接種部位が腫脹して熱感や痒み、痛みがある時は
保冷材などをタオルでくるんで 15分ほど冷やして下さい。
腫脹が続く時は何度か繰り返して冷やして下さい。
「腫脹(しゅちょう)」とか、こちらの国語力(医学力?)を試すような単語が使われています。一般人への説明なら「はれる」くらいの言葉で十分なんじゃないかと。
それはさておき、気になったのが
10分くらい良くもんで下さい
のところ。
最近は「揉まない」って指導されてたんじゃなかったっけという記憶が。
で、確認すべく、ウェブで複数のソースを当たってみました。
↓「東京都内の医師」談が載っている記事。
インフルエンザ予防接種後の正しい行動って? - Excite Bit コネタ(1/2)
「強く揉むと皮下出血の危険があること、また破れた血管からワクチンが急速に拡がって、腫れやしこり、さらにはアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)の起こる可能性が考えられるようになったためです。よって、私はあまり揉まないようお伝えしています」
↓医療教育情報センターという特定非営利活動法人(つまりNPO法人ね)の、「健康相談セミナー 質疑応答より」という記事
健康相談Q&A 予防注射後に注射部位を揉むかどうか
昨年発表された「インフルエンザ予防接種ガイドライン 2014年」では、「インフルエンザ予防接種後、注射部位は揉まずに、血が止まる程度に押さえるだけでよい。揉む場合でも数回に留める。余り強く揉むと皮下出血を起こすことがある」と記載されている。つまり、揉む必要はなく、軽く押さえる程度でよいということになる。
↓文責という観点では微妙ですが、いろいろな人の意見を聞いてみるということで、知恵袋。
予防接種の後はその部位を揉むのか、揉まないのか。 - インフルエンザの予防接種に... - Yahoo!知恵袋
皮下注射はもみません。
一般的にもむのは筋肉注射です。
ベストアンサーを含む4つの回答すべてが「皮下注射は揉まない」というものでした。(インフルエンザ予防接種は皮下注射です)
「皮下注射は揉まない」「筋肉注射は揉む」という対比で回答されていましたが、この「筋肉注射は揉む」についても、前述の医療教育情報センターの回答によれば、
それでは予防注射でなく、一般の注射ではどうか。予防注射以外で緊急性のある注射として、アナフィラキシーショックの治療に使うアドレナリンの筋肉注射がある。この場合、筋肉内に注射されたアドレナリンを早く体内に吸収させるという理由から、揉むほうが良いと言われるが、やはりそれを裏付けるエビデンスはない。しかし揉んで害になる訳ではないし、緊急という状況を考えれば、揉んで心理的にも安心する方がよいだろう。
「心理的にも安心する」からって、エビデンスのないことをするってのも、かなり微妙。ただ、揉むべき状況もあるらしく、
他には筋注用・抗菌剤(抗生物質)がある。注射薬の添付文書に「筋注後は硬結を防ぐため、局所を十分揉むこと」と書いてある場合はその指示に従う。しかし最近の優れた抗生物質の殆どは静脈用注射液になっている。
抗生物質を筋肉注射した場合は「揉むべし」なシチュエーションってことね。
↓こちらのベストアンサーを見ると、さらに、皮下注射なのに揉むべきだと思われてしまうようになった経緯が見えてきます。
揉む/揉まない注射の違いを教えてください。 - 先日インフルエンザの予防接種... - Yahoo!知恵袋
日本では長い間、注射をした後、よく揉むのが常識とされていました。年配の方は、ご経験されたと思いますが、「医者にかかる=注射を打つ」と言うのが一般的だった時代がありました。
たとえば風邪で受診した時、熱があれば解熱剤、熱がなくても抗ヒスタミン剤の筋肉注射をしていました。また、肺炎防止に、抗生物質を臀部に注射することも行なわれていました。
昔は、抗生物質の筋肉注射はよく行われていて、その場合は揉むというのは正しい対処だったんですね。でも、今は抗生物質の筋肉注射をする機会自体がほぼなさそうな状況です。
ましてや、インフルの予防接種は皮下注射だし。結論としては、インフル予防注射は揉む必要ないし、そのほかでも揉むことはないだろう、ということで。
でも、私が病院でもらった紙には
10分くらい良くもんで
って書いてあったんだよなあ。
医師の不勉強ってことで片付けていいのか、それとも何か別の根拠や信念にしたがって行っている指導なのか・・・
結局私は揉みませんでした。まあ、めんどくさかったからというのが一番の理由なんですが。
予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)
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